年の瀬に思ふ



幾日もたたぬ間に、除夜の鐘を聴く年の瀬となりました・・・

皆様にとりまして、本年は如何なる年でありましたでせふか



僭越ながら、わたくし共にとりましては創業十周年を無事に迎えると共に、

二年ぶりの「真珠夜會」開催と・・・ 初心を思い出した一年で御座いました


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本年亡くなった故:水木しげる先生の遺した言葉、目にした方も多いことでせふ



「やりたくないことは無理にやることはない。自分に出来ないことは他人に任せておけばいい。
自分の好きなことをやる。その為に人は生まれてきたのだと私は思っています。
やりがいだとか、充実感といった言葉をよく耳にしますが、
結局は自分が好きなことにしか、そういうものは見つからないような気がします。
やりたいことがみつからないと言う人がいますが、
先ずは自分が好きなことは何かを考えること・・・小さい頃に熱中していたものを思い出すんです。

ただし、好きだからといって成功するわけじゃない。
努力は人を裏切るということも知っておくことです。
それでも、好きなことに情熱を傾けている間は、きっと幸せの空気が漂っています。
好きなことに情熱を注いで、人生を生き切ること・・・うまくいく時もあればいかない時もある。
そんな時に、あたふたと騒がない方がいい。幸福だの不幸だのといちいち口に出さないこと。
人生にはいろんなことが起こって当たり前。放っておくことです。
人生を下手にいじくり回したりせず、自然の流れに身を任せてしまった方がいい。
しょせん人間の力ではどうしようもないこともあるのですから・・・」




太平洋戦争下のニューギニア戦線・ラバウルに出征・・・ 
過酷な戦争体験を重ね、米軍の攻撃で左腕を失ったのち現地民のトライ族と親しくなる中、
自然に寄り添い 自由かつ大らかに生きる現地民族の生き様から得た人生訓との事・・・



わたくし個人に置き換えても、二年ぶりの買付け同行や「真珠夜會」の再開を通じ、

「好きなことをすること」は、自身の快楽のみならず人の心を打つことを改めて知り・・・

水木先生の厳しくも暖かく、潔い言葉は深く染み入ることとなりました




本年もご贔屓を賜ったお客様各位をはじめ 至らぬわたくし共を支えて下さった皆様・・・

この場を借りまして、深く御礼申し上げます

弊店の年内営業は本日までとなりますが、どうぞよきお年をお迎え下さいませ





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仏蘭西旅手帖~ある日の一コマ篇~



さて、今宵の旅手帖は、、、

巴里の街角や妹の住む地方で出逢った日常の風景を素に…

素顔の仏蘭西の人々が持つ味わいや気質などについて、チョイと綴ってみませふ


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毎年6月第3週末に行われる、『Fete de la Musique(音楽祭)』…
この日ばかりは、巴里のみならず仏蘭西全土が”音楽の洪水”と化し、
シャンソン・ジャズは無論 ロックにレゲエ、テクノ等・・・誰でも演奏できます
普段お澄まし顔の巴里の都会人も、音楽聴けば体が勝手に 踊らにゃ損々、、




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土日になると、巴里の街のあちこちで開かれる蚤の市・・・
時折出くわす、素人店主が中心の大規模な市で見かけた光景
(嗚呼、そのままお空の彼方に消えた風船おじさんって昔居たナア・・・)
そんな幻想が脳裏をよぎる、正に飛んでいってしまひさふな風船売り




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蚤の市や骨董市では、(一体どなたがご所望なさるのかしらン・・・)
そんなものが意外や意外、一番に売れたりしてしまふから面白きもの
狐?の剥製のトレイ置き、帰りも佇んでましたが看板娘にはなったハズ
時にはニセモノをつかまされることも、狐に化かされぬやふご用心!




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わたくし共が創業時よりベイクライトものを買付けるマダムご自慢の品
その市では主にセルロイドを中心としたブローチを並べて居られました
齢七十を超えるとは思えぬ、小粋で赤毛に笑顔の似合ふマダム、
東洋趣味の中でもお勧めは、傘が連なる「KYOTO」と名の付く逸品




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妹の住むフランシュ・コンテ地域は コンテチーズの産地としても有名・・・
我が国なら掌サイズしか買えない値段で、とてつもない塊を包んでくれます
街の市場・・・豚さん型サラミが「買ってってよう」と言わんばかりに愛くるしい
どの国でも 殿方はつまみやお酒売り場を落ち着かなさげにウロウロ、、、




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妹とパートナーの住む、築100年は軽く超えるアパルトモン・・・
長き年月で磨耗された石の階段や渋い窓枠が、風格さへ醸しだす
窓辺に鮮やかな鉢植えを飾り、暖炉の上には想い出の品々、、
何時の間にか大人になっていたんだなあと、親のやふな心持




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スイス国境近いブザンソンは、古くからスイス時計産業の中心地、
1800年代末に教会内に設置された巨大からくり時計も、まだまだ現役
小説家:ヴィクトル・ユゴーに映画の発明者:リュミエール兄弟の出身地・・・
中世以来の面影を留めるシタデル(要塞)は世界遺産にもなっています





ブザンソンは、街中に花と緑があふれる仏蘭西随一の「緑の都市」・・・

TGVにて、仏蘭西の胃袋を支える田園地帯をひた走ること三時間弱、


山上の城の周りには川、城を中心に発展した城下町、、、

まるで故郷の岐阜みたいでしょ、と水上ボートの上の妹は笑いました


今回、旅の半分を同行したわたくしの父母の一番の目的・・・

それは、現地で父母代わりに妹達を可愛がってくれている恩人へお礼を伝えること

アペリティフ以前の長きお喋り、夜も更けるまで伝統料理での心尽くしのおもてなし

音楽家でもある彼ら、福島へのチャリティ演奏会もしていると聞き 思わず胸詰る・・・

・・・胃袋は勿論、心まで一杯に満たされる 笑いの絶えない一夜でありました




とかく気位がお高いと思われがちな仏蘭西の人々、実際接すると案外そうでもなく、

お喋り(議論)好きで、愛嬌があり人情味があって、何といっても「美」意識が高い…


多くの移民を受け入れ 文化のるつぼと化してもなお、

自由を我が手で勝ち取った彼らの誇りや風刺の効いたエスプリ、美への尊敬の眼差し・・・

艶やかに手入れされた自宅の小さなジャルダン(庭)、巴里の菓子屋のショウウィンドウ、

都会でも地方でも、そんな気質がそこかしこに垣間見られるやふに思われます




「真珠夜會」第四夜についてはこちら・・・
第4夜表_320



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仏蘭西旅手帖~ボタン!ぼたん!篇~



光陰矢の如し、、、 気づけば暦はもう九月

6月の買付けからはや二ヶ月・・・ 一息つき、旅の手帖を幾篇か辿ってみます



二人で買付けの旅に参ります際は、大概役割担当が決まっておりまして・・・

わたくしは興味の引かれる場所や催し探し、紳士は交通手段に宿や蚤の市探し等、

つまり、直感や幻想のまま大枠を決めるはわたくし、それを具現化する実務担当が紳士



・・・限りある余暇の中、この度数ある展示や催しの中で最も興味引かれたのがコチラ、、

装飾美術館にて開催された『DE BOUTONNEZ LA MODE!(モオドのボタンを外せ!)』展


企画展ながら三千点以上のボタンや装飾品を時代に沿って展示、まさに圧巻であります

モオドに特化した美術館とあり、複数階にわたるボタン展エントランスからしてこの有様!!


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13世紀に開発され、18世紀に黄金時代を迎えたといふ「ボタン」・・・

1930年代にファスナーが普及するまで、ボタンは巴里のオートクチュール全盛期を支え、

富裕層にとっては富の象徴、芸術家にとっては小さいながらも創造性を発揮する場でした


また、クチュリエやデザイナーにとっては単に服を留める実用的な役割のみならず、

美意識や自己主張につながる大切な存在でもあったのであります
(FIGARO japon 2015年 4月号より一部抜粋)




● ○ ● ○ ● ○ ● ○

では暫し、皆様とボタンを巡る時間旅行と参りませふ、、、、

まずは 王侯貴族が絶大な権力と富を誇っていた 1789年仏蘭西革命以前まで遡ります

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この時代までの富裕層は、ご婦人より殿方が更に華やかに着飾りました
上の手描きエナメル(七宝)、下の硝子一つ一つに込められた小宇宙ときたら!
無論衣類は上質なシルク製、更に絹糸や金糸で刺繍が施されたロココの極み


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上:子供服だって寸分の手抜かりもござあません・・・着せる従者は大変でせふが
下:1780年頃、右下の白蝶貝上に込められたるは「彼の愛に根負け」といふ愛の言葉


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● ○ ● ○ ● ○ ●

ここからは仏蘭西革命以降 王政が倒れ市民の中から中産階級が生まれた1800年代以降・・・

服飾においては、紳士はある程度形式が定まり、ご婦人方がモオドの中心に躍り出ます

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かつてより簡素化されたとはいへ、ボタンブーツにシュースパッツ・・・
襟やポケット、生地の違いによる細かなディテールに殿方が心血を注いだ時代
注文主にぴたりと添う仕立て、十分に腕を発揮した街のテイラーの最盛期


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ジャポニスムの波がモオド界にも・・・ポールポワレによる服飾革命
キモノルックにアラビアンルック、、コルセットから開放され誇らしげな乙女たち


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猫も杓子もジャポニズム、七宝や貝細工で彩られたるアール・ヌーヴォーの渦
下:上三本はヌーヴォー期スプーン、はてどうすくえばよいものか?それが問題だ


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● ○ ● ○ ● ○ ● ○

時代の寵児はポワレから若きシャネル嬢へ… アール・デコ期へと移ろいます

都市化の進行、モオド誌の発達等も手伝い、モオドは市民にも手の届くところまで・・・

とはいへ、第二次大戦以前は巴里が全てのモオドの発信地でクチュールは全盛期

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上:左はシャネルが全身にボタンホール&ボタンを施した挑戦的な一枚
下:黒や赤、緑など都会的で力強い配色がモダンとされたデコ期のボタン


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上:1920年代の英国製ボタンブーツと、女性の脚を模した小洒落たボタンフック

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上:1930年代初めのモオド誌、デコの馨り残るカットボタンに乙女の胸踊る
戦禍が忍び寄る30年代後半~戦時中は、服地の豪華さでなくアイデア勝負!
金属でなく合成樹脂を中心に、下は太鼓モティーフがユニークな木製ボタン


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これ以降も、戦後モオドの復活を決定的にしたディオールのニュー・ルック、

クレージュによる宇宙未来的なクチュール・フチュールの作品、

イヴ・サンローランによる革新的な女性のスモーキングやサファリルック等、、


巴里を代表した名だたるクチュリエやデザイナーによる作品群の数々・・・

なんとわたくし、滞在中に二度も足を運んでしまいましたとさ!



たかがボタン、されどぼたん・・・

さあて、アナタの心に留め置かれたのは ど・れ・だ?




「真珠夜會」第四夜についてはこちら・・・
第4夜表_320



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血肉となりて



舞い散る桜の花跡から、若葉が芽吹く清清しい季節と相成りました



いっとき品々のご紹介が続きましたので、今宵は一服、、、

そもそも、この『真珠の戯れ事』とは一体全体、何たるちやを綴ってみたく存じます




それは、私共と旧知の仲で今は大阪に居る後輩:K嬢の一言から始まった気が致します

「こんな稀有な出で立ちや店構えをしているんだから、それをも少し伝えてみては?」

ハイテクな世にありながら、のらくらしている二人を見…親切心から言ってくれたのでせふ 


(ハテサテ? こんなに偏った存在を世に伝え知らしめるとは これ如何に…)

思案の末生まれたのが『真珠の戯れ事』であり 2010年4月の開始から はや5年



所謂「ブログ」なるものを綴るにあたり、どうせなら自分らしいものにしやふ・・・

ご紹介した品が売れた何年か後でも見返したくなるやふな読みもの、

まるでモオド版『暮らしの手帖』のやふな 皆様の人生に寄り添ったもの、

そして、自身の備忘録も兼ねて モオドの小手帖として残しておこうと、、、




さて、そんな密かな想いにて(紳士はどうかは存じませんが)始めた『戯れ事』・・・

販売歴は長くともファッションを専門に学んだことがないどころか 畑違いの教育学部出身、

(皆々様に誤った情報を提供してはいけない、、)  そんな馬鹿真面目さもあいまって、

一つの記事を仕上げるのに 当初は数時間掛かる事もしばしばでありました

それでも、愉しみにしておりますとの有難きご声援を胸に のんびりと続けて居ります



そんな『戯れ事』を下支えしてくれるのが、これまでに見聞きした音楽や映画であり、

個性的な友人らからの影響、モオドに関する様々な書物や資料たちであります


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蚤の市等で手に入れてきた 大正~昭和初期の婦人雑誌の「付録」でさえも、
欧米でのモオドが往時の我が国でどう取り込まれたかの生きた資料であります





これまで幾度かご紹介した『チープシック』はじめ (詳しくはこちら→チープシックのススメ)

1970年代前後に編集されたモオド関連の書物は、今読み返しても多大な影響力を持っています

『流行と神話(海野弘著:1976年創刊)』、『大人の女性が美しい(長沢節著:1981年創刊)』しかり、

また昨年入手した『ファッションと風俗の70年(婦人画報社:1975年発行)』もしかり、、、



世界各地で時代が大きく変わろうとしていた1970年代は 破壊と再構築の時代とされます

モオドの世界においては、見た目上男女の性差がなくなり  

タブウであったものが最先端となり、アールヌーヴォー・デコの再評価もおこりました

モオドは、もはや特権階級だけのものでなく、庶民が愉しめるものとなったのであります


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つい最近古本屋で出逢った『ファッション画の歴史』も、中々衝撃的な内容であります

何せ著者がかの「荒俣宏」氏! サブタイトルは「肌か衣か」、

先出の海野弘氏同様、モオドとは縁遠い著者の解く「モオドの奇奇怪怪さ」!!



このやふな「未知との遭遇」が わたくしの血となり肉となりまして、

『真珠の戯れ事』の中に散りばめられ 皆様にご高覧頂けますならばこれ幸いに御座います

また、如何せん人間… 時に偏ったり誤ったりがありませふが お許し願いたく存じます



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さやふなら、今日は



立春過ぎ、寒さもようやくひと段落、、、



いにしへより、誰が呼んだか 春は別れと出逢いの季節・・・

真珠でも、先だって小さなそれが御座いました


当方と長く供だってくれた1950年頃の亜米利加製キャビネットにお別れを告げ、

やって来ましたるは、1870年頃 大英帝国製のマホガニー飾り棚であります


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英国の1870年代といへば ウィリアム・モリスによるアーツ・アンド・クラフツ運動の興った頃

産業革命後 大量生産による安価で粗悪な品が巷にあふれたヴィクトリアン期において、

中世の手仕事に回帰し、「生活と芸術」を統一することを唱えた彼の思想は、

後に続くアール・ヌーヴォー等の芸術運動を誘発したとも言われております

とはいへ、当時の量産品でも当世においては贅沢品であることもしばしば、、、



そんな激動の時代の飾り棚が、多くの国や人の手を渡り 今ここにある神秘・・・

これだから 古物好きは中々やめられまへんワ


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グラス状の小振りなれど、英国製らしく重厚な趣にあふれた飾り棚、、、

これから どんな出逢いを産んでくれるのでありませふか




さて こちらも長く、皆様方を当方へと誘った看板… 

当初は軒下に提げていたのがいまや屋外、風雨にさらされ痛みが目立って参りました

この度、製作主であるわたくしの父のもとでの修復手術へと暫し相成ります


もうひとつの「さやふなら、今日は」 、、、

次にお目にかかりますときはどんな姿に再生していますことやら!
(従いまして、扉前の立て看板とボディが暫しの目印となりますので、よろしくお願い致します)


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Author:Pearlマダム&ムシュウ

福岡に御座います、フランス中心の
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日々の戯れ言を綴った日記です

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