チープ・シックのススメ




さて、今宵は まだうら若き十代終わり頃 わたくしが出逢った一冊の本をご紹介致したく思います

『チープ・シック~お金をかけないでシックに着こなす法~ (カテリーヌ・ミリネア&キャロル・トロイ著)』

1977年に亜米利加で初版発売、日本では初期宝島社に携わった片岡義男氏の訳で草始社より発売されました


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始めに、著者の前書きの一部をご紹介すると致しませふ・・・

あなたが自分にあったおしゃれをしたければ、この一冊あれば、十分。いちばん新しいおしゃれの考え方がわかります。
あなた自身が、自分のために自分でつくり出す服装のスタイルについて書いてみたのが、この本です。
ファッション・メーカーに命令されて服を着る時代は、もう終わってます。
自分がなにを着ればほんとうの自分になるのか、どんなスタイルをすれば自分がいちばんひきたつのか、
もっともよく知っているのは、なんと言っても自分自身です。
あなたの服装は、あなたが自分でえらびとっている自分自身の生き方にぴったりそったものであるべきなのです。
ファッション雑誌の反映になってしまっているなんて、とても生き方とは言えません。
調和のよくないいろんな服を、ごちゃまぜにいっぱい持つのは、やめましょう。着ていてとても気分の良くなってくるような服を、
数すくなくともいいからきちんとそろえて、自分のスタイルの基本にしましょう。
身につけていると気分が良く、自分に自信がわいてきて、セクシーになり、素敵に見えてハッピーになれるような服を、
昔からの仲の良い友だちとおなじように、いつまでも大事にしていくのです。
ファッションの大量生産と大量マーケティングによって、まちがった、ろくでもないファッションが、
私たちの衣装ダンスの中に大量につめこまれています。
(中略)自分自身をよろこばせるために、服を着てください。うまくいったときには、
まわりのひとたちもそんなあなたにうれしくなっていきます。
(中略)ファッションメーカーの言いなりでない、ほんとうに自分の生き方を反映した現代的でシックな着こなしにとって、
なによりもさきに大事なのは、自分の体です。生彩のない身体をいろんな服でごまかそうとすると、ずいぶんおカネがかかります。
でも、健康ではつらつとした身体をつくるには、おカネはさほど必要ではないのです。
それに、自分の体を自分ではっきりとつかんでいれば、
その体にとってどんな服が本当に必要か、よくわかるようになります。

(中略)体がきちんとできあがったら、服を楽しみます。それぞれの服の生地が持っている感触を、自分の生の感覚で楽しむのです。
洗ったコットンのやわらかさ、カシミアのやさしさ、あまり加工していないウールの、荒々しい感触…
香り。ほんもののレザーの香りを、イミテーション・レザーの香りと比べてみてください。
濡れたウールのセーターの香りが、ポリエステルのニットにありますか。
音。タフタの布ずれ… ナイロンの触れ合う音。いろんな音の楽しみを、忘れすぎていませんか・・・(後略) 






最早、何の説明も要らぬことでありませふ、、


世界の大量生産・消費を牽引し 物が飽和状態にあった1970年代末当時の亜米利加社会に対し、

若き亜米利加人女性著者が放ったこの痛烈なアンチテーゼ!!!

時を経、国は違えど当世のわたくし共を取り巻く状況は 良くも悪くも益々加速しつつあるのは明白であります



とはいへ、こちらは所謂「これを着れば即お洒落」的なHowTo本ではありませんでして…

数々の個性溢れる人々の着こなし といふより服に対する哲学や生き方を紹介したり、

若きイヴ・サンローランやザンドラ・ローズをはじめとするデザイナァへのインタビュウ等多岐に渡ります


時にはクスリとさせられ、強烈なる着こなしに度肝を抜かれ、身につまされているやふでハッとさせられ・・・

以前「すたゐる」といふ記事でも触れましたが、着こなしだけでなく生き方にも迷いのあったあの頃、、、

当時、蒼き夢を追っていた若きわたくしには 確固たる一人一人の生き方が眩しくも頼もしく思えたものでした




軍払い下げ品や作業服、民族衣装の着こなし方等と並び 著者は古着を使った着こなしを多く提案しています

1970年代以前は、一部骨董的価値のある装飾品や美術品、家具などの「アンティイク」を除けば

欧米においても 人のお下がりなどを着るのはお金に余裕のない人がするもの、といふ感覚がありました


しかし、世の中に量産の衣類などが蔓延し 同時に社会的にも貧富の格差が縮まってきますと

嘗て大金を掛けて精巧に作られたものを安価で手に入れることが贅沢、といふ新しき価値観が生まれて参ります

同じ安価でも値段相当の価値のものを買うか、嘗ての贅沢品を買うか… 自由に選べる時代が来たのです

上下のブロマイド、当時倫敦のBIBAに熱狂した若者も、この最先端の着こなしを堪能したことでありませふ…

新しくもクラシックな70年代のBIBAと、本物の20~30年代等の古着を組合わせ鏡の前を行ったり来たり、、



当世では、この本にあるやふな一級品の掘出し物は 世界の中古市場において中々出なくなっているのも事実

しかし、当時の職人の息遣いが聴こえるやふな品にまだまだ出逢える可能性があるのも骨董・古物屋の良さです


誰に持て囃されたいのか判らないやふな「~系○○」等といふくくりや一時の流行で自分を縛るのではなく、

新しいものでも古いものでも 何でも我が身に引き寄せて、身体の一部のやふに堂々と着こなして行けたら…

そんな頃には、「お洒落」に関する悩みなど もう頭の隅から消えうせていることでありませふ

単に奇抜かどうかや、人からどうみられるかではなく… わたくしらしく着、生きてまいりたいと思うこの頃




嘗て『VOGUE』の伝説的編集長も務めたダイアナ・ヴリーランドの言葉を引用し、今宵はお別れと致しませふ

「土台がしっかりしていなければ、どんなに飾ったって、素晴らしくは見えないですよ。
つまり、お化粧でごまかすというのは、もう駄目なのよ。
でも、ナチュラルルックなんて、もうたくさん。人工的に作り上げられたものが、私は大好き。
自然なままなんて、いったい何の意味があるのかしら」
「なにごとも習慣なんですね。エネルギーを出す習慣をつけてると、エネルギーは出続けるし、愛だってそうです。
エネルギーとか愛とかは、いい習慣なのね…(中略)
こういう習慣があれば、何事に関してもほんとうに興奮できるようなことがいつも豊富にあるようになるわね」
 


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