フラッパーからイットへ



気づけば暦は皐月間近、  
気候もよく、催しも多い季節であります


今宵は、わたくしも好んで収集するロング~マキシ丈ドレスにまつわる小噺をひとつ


三者三様、マーメイドラインやマキシ丈で最先端モオドを謳歌する1930年代初めの乙女たち
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1970年代は1930年代に似てくるのではないかということがファッションの方でも言われています。
レスリー・ベイリーによる『BBCスクラップブック』を見ていると、
わたしたちが新しいと思っていることが実は同じことをくりかえしているのにおどろかされます。


…たとえば20年代にはスカートも髪もぐんぐん短くなり、ついに坊主頭になったところで、
こんどは振子が逆に振れ、スカートや髪が長くなりはじめる有様は
1928年の『パンチ』のイラストレーションに見事に描かれています。
(中略)

スカートの短いということは<若さ>が求められている時代の特徴で、20年代は若作りの魅力が流行しました。
これに対してスカートが長いということは<成熟(マチュリテ)>や<女らしさ>に関係が深いようです。
線で言えば前者は簡潔なストレート(直線)であり、後者は複雑なカーブ(曲線)ということになります。
(中略)

1929年にある女性雑誌は「ファッションの新しい発見、それは女らしい姿はすてきだということだ」
といっています。そしてこれから<フェミニン(女らしさ)><マチュリテ(成熟さ)>としての30年代に入っていくわけですが、
当時は<イット>ということばでこれらの傾向を代表しました。<イット(それ)>とはいかにも含みの多いことばですが、
エリノア・グリンの小説でセックス・アピールの意味で使われ、
それを映画化した『イット』ではイット女優クララ・ボウを生み出しました。
この『スクラップブック』を読んでいると、ファッションというものが単に衣服をとりかえるだえでなく、
30年代にむかって突然肥らされるコーラス・ガールのように身体全体をとりかえるものかもしれないと思ったりします。



文中にも登場する、20年代末 時代の寵児となった”イットガール”クララ・ボウ…
しかし、その人気も ローウエストドレスと同様 一瞬の閃光と相成りました

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上は、1976年に海野弘氏によって書かれた『流行の神話』から一部抜粋したもの…

1974年 ロバート・レッドフォード&ミア・ファローによる『華麗なるギャッツビー』封切後、
60年代のミニスカートブウムのち低迷していたモオド界が打ち出したのは、マキシロング丈


つまり20年代も60年代も、短いスカートによって焦点があたったのは「レッグライン」、
新時代、はつらつとした若さと 少年のやふに細い手足が要求されました
(もっとも、20年代は第一次大戦後の食糧難により 痩せこけたご婦人が多かったとか)

対して 30年代前半や70年代、マキシロング丈が露にしたのは「ボディライン」、
ウエスト位置は低い位置から正常の腰位置に上がり、まとわりつく布地…
脚が隠されたことにより、かえって成熟した胸や腰の線が強調されるというカラクリ



さて、今宵は 美しい線を生むバイアスカットの誕生に 相次ぐ新素材の開発など、
飛躍的に進歩した30年代のモオド界が遺した マキシ丈ドレスのご紹介であります



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ハッとするほど美しいドレス、とはこういうものを指すのでしょうか…
トレーンを引き、だましボタンの並ぶ後姿がむしろ艶やかな1930年代の逸品
素肌に浮き上がる葉柄レエスがなまめかし、成熟した女性にこそ似合う線!
30年代葉柄ドレスの詳細はコチラ…
タッセル風ビーズ首飾りの詳細はコチラ…



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こちらは既にお客様のもとへ、1970年代の舞台衣装とのこと
上と同様バルーン袖が風はらみ、楽園のごとき極彩色は時代を映す


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何段にも重なるティアード切替えにフリル襟も、30年代前半のトップモオド
連なるお団子状変わりドット、ドット柄こそ当時「イット」な柄でありました
30年代変わりドットワンピースの詳細はコチラ…



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コケティッシュな女優:クローデット・コルベールが銀幕で着たかのやふな…
ピンクサテンに腰リボンがイヴニングにふさわしい、30年代らしさ満載のドレス
30年代バックリボンドレスの詳細はコチラ…





「狂騒の20年代」から「華の30年代」、にぎやかに名づけられた時代の影で
「フラッパー(お転婆娘)」「ギャルソンヌ(少年のやふな娘)」は「イットガール」へ、、、
ウエストラインの上下のみならず、肉付き含め身体そのものの変化を求められるとは!

更に、30年代後半からは再びスカートは膝丈に戻り 軍需工場へと出向く婦人たち…

20年代、くしくも第一次大戦により 女性の社会進出が進んだとはいえ 
いやはや、まだまだ世の頭の中の構造は 男性上位時代であったわけで御座いますナ



30・70年代をはじめとし、ウエストが本来の位置にある時代は暗い世相を表すといふ…

今のご時世、流行にも時代にも 誰にも縛られ過ぎることなく、
ウエストくらいはご自分らしい位置で愉しんでみては? といふのは わがままでせふか




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