矜持(きょうじ)



日々目まぐるしく変わる震災状況、何かを綴りたい…と思う内にはや半月近く時は移ろいでしまひました

あまたある被災地の苦境報道の中でも、わたくしの胸を打ちましたのは確固たる「日本人の矜持」…

この度は、この「矜持」と云う言葉から一つ、わたくしなりに綴ってみたく思います




此処のところわたくし達日本人は、泡沫(バブル)景気がはじけ GDPは中国に抜かれ 先の見えぬ不景気に

己にすっかり自信を失い、小さき島国にあってもさらに身を縮め小さくなって久しく御座いました


しかし、震災直後 日本国内のみならず世界各国からいち早く届いた支援の手や物資や声援の数々は

わたくし達民族が如何に捉えられていたかを端的に示すものであり、驚愕と感動をもって拝見しました

伊太利亜での青年のインタビュウ、白の背広に朱のシャツ姿での受け答えに流石欧州の伊達男は洒落ている…

さふ思った次の瞬間、彼らは身を丸くし人型で日の丸を模し、遠き極東の国にエエルを送っていたのでした

また被災地で人々が文句も言わず整然と並び配給を待つ姿は各国に衝撃を与え、何と誇り高き人々かと賞賛の嵐

しかし、これらの報道に驚愕したのはまさにわたくし達ではなかったでせふか・・・

こんにちまで当たり前だと思ってきた事々は、世界基準では「誇りある」姿であったことに!!



そもそも、「矜持」とは自尊心や誇り、といふ意味を持ち 威圧感のある言葉と思われる事もしばしば

しかし、自身も被災しながら人々のために駆けずり回る人々、我が子のミルクを譲り合う母親達、、、

この姿こそ誇り以外の何者でありませふ、わたくし達は忘れかけていた自信を震災の土砂の中から掘り出し、

世界に胸を張り 謙虚さの中に「矜持」を秘めて生きていかふではありませんか・・・

さふ、日本はもの作りや芸術で生きて参った国… もう一度、堅実なる未来図を描きなおし

一人一人が出来ることは何かを見詰めながら、必ずや立ち直ってみせやふではありませんか!

そして、被災者の皆様・・・ 

時には思い切り泣いて、辛い感情を溜め込まずに洗い流して下さること 心より願っております





わたくしの周りでもつい先日、「矜持」を感じさせられる一つの別れが御座いました・・・

大正5年に生を受け、齢94を数えた最愛の祖父がカツ丼を喉に詰まらせ突然天に召されて参ったのです

 
その日、母より連絡を受けたわたくしは新幹線に飛び乗り、祖母の形見の指輪に祈りながら数時間・・・

自発呼吸は止まり、人口呼吸で意識は既になくも お爺ちゃまは待っていて下さいました


二十歳そこそこで田舎の豪農の娘、お婆ちゃまをお嫁さんにしたお爺ちゃま

入籍間も無く身重のお婆ちゃまを置いて出征していったお爺ちゃま

インドネシアはスマトラ島で衛生曹長として軍役に付き 9年を過ごしたお爺ちゃま

戦争後も長く連絡なく 戻らぬお爺ちゃまを子供抱えひたすら健気に待ったお婆ちゃま

現地語「テレマカシ(ありがとう)」を教えてくれ、戦時中の話では時に声を詰まらせたお爺ちゃま

先月の帰省時、いつまでも握った手を離してくれなかったお爺ちゃま

火葬後、残された立派なお骨に一同を驚愕させるほど強靭な足腰を持っていたお爺ちゃま


両親共働きであったわたくしにとっては祖父と祖母達は育ての親でもあり、憧れのおしどり夫婦でありました


十七年前に祖母をガンで亡くしてからは非常に寂しかったであらふが、元来の几帳面で綺麗好きは終生変わらず

そして何よりも人に迷惑を掛けるのを嫌った祖父は、本当に呆気なく…人の手を煩わせることなく旅立ちました


信心深くもあった祖父が倒れた日はまさに彼岸の入り、、世間は三連休初日でもあり娘や息子、孫達も駆けつけ

生前、お葬式の手はずまで気に掛けていた祖父らしい生き方を感じさせる天晴れな引き際で御座いました

死といふものは人それぞれ、何が幸せかも十人十色であることは勿論ですが、死を持ってその生き様を

見事に見せた祖父は、改めてわたくしにとっては「矜持」を持って生き抜いた尊敬に値する人となりました
 


楽天家のお婆ちゃまが太陽であるならば 繊細な月光のやふに穏やかに見守ってくれたお爺ちゃま

戦時中と同じく長らく待たせたねエ・・・ そろそろ二人は出逢えたころでせふか





 
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