せ・し・ぼん



震災のこともあり、暫し抑え目の日記となって居りましたが、本日は敢えて豪奢なテエマといきませふ…

狂乱の20年代、花の都:巴里にて貴族でもないのに"バロン”と呼ばれ 豪快に600億を芸術に色恋に使い切った男

さふ、、、パトロン道を究めた破天荒な日本男児:「薩摩治朗八」その人であります


そもそも、何故このご時勢に治朗八翁を取り上げるのか…それは数日前に遡ります

お友達とお着物にて福岡市美術館で開催中の『ハンブルク浮世絵コレクシヨン展』に参りました時のこと、、

数々の名品を目の当たりにするにつけ、(どうして日本の芸術品はかくも国外に流出してしまったのだらふ…)

素晴らしき筆使いや技術の高度さを見る毎に、悔しいやふな羨ましいやふな思いが募って参るので御座いました

だって皆様、自国の芸術や文化をないがしろにする国に果たして、明るい未来はありませふか!?

政府で叶わぬならせめて嗚呼、当世にも一人や二人、彼のやふな感性を持つ億万長者が居たらナア、、、と



バブル全盛期の頃、私は、これでようやく日本にも本当の意味でのブルジョワ文化が生まれるだらふと期待していた。バブルで蓄財された金が二代目や三代目によって食いつぶされるとき、かつての欧米社会のやふな爛熟期の文化が日本でも花開くと考えたのである。文化といふものは一代目が金を稼ぐ過程ではなく、二代目、三代目、とくに三代目のボンボンが金を湯水のやふに蕩尽する過程でしか生まれないものだからである。しかし、清貧の国日本は、潰さなくてもいいバブルを無理やりに潰し、文化的な大飛躍のチャンスをみすみす逃してしまった。あとに残ったのは一点豪華主義のケチなプチブルの群でしかない。プチブルからは絶対に文化は生まれない。これだけは確かである。では、食いつぶしの三代目の文化といふのは一体どんなものだったかといふと・・・(中略) 英米の食いつぶし組に一歩もひけを取らないほどの金額を蕩尽し、しかもその「浪費のエレガンス」でひときわ異彩を放った一人の東洋人男性がいた。驚いたことに、それは日本人、しかも巴里にやってきたときには弱冠20歳の青年だった。当時の日本だったら国賊と後ろ指を指されかねないとてつもない金額を花の都巴里にて見事に使い切ったこの日本人、その名を薩摩治朗八といふ。   
『芸術新潮(1998.12月号 鹿島茂氏による解説より一部抜粋)』



この件の「三代目の…」云々がわたくしにはとても興味深く、また妙にウウムと納得させられたのでありました

典型的な一代目は財を成すのに躍起になる結果、極端な質実剛健の倹約家、

二代目は一代目の強烈な個性にあてられ金儲けに情熱は向かないが贅沢が多少身に付き、感性は洗練されてくる

ただ二代目は一代目の血の滲む如き努力を見ているが故、湯水のやふな放蕩にはいささかの罪悪感が伴ふ

さて、三代目は… 蓄えられた財を散在する為に産まれたか、あとは言わずもがなのナントヤラ、、

明治期は所得に対する累進課税制度がなかったさふ、それが当世と違い一代で巨万の富を成せたワザでありました



かくて木綿問屋の大店の三代目:治朗八翁は狭き日本を飛び出し、絢爛たる都:巴里に居場所を見出し、

月数千万の仕送りを爪の先ほどの罪悪感も感じないまま、芸術に社交にラヴアフェアに…費やしたので御座います

バロン・サツマにとっては伯爵令嬢の質素な美人妻・千代子嬢も彼色に染めるキャンバス、

見る見る間に人も羨む最先端のモガに仕立て上げ、芸術家の会合に社交界に…昼夜問わず連れ歩くのでありました


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さて、かやふな散在が永く続かないのは世の常、諸行無常の響きあり、、、と言ふまでもなく

世界恐慌の到来と共に薩摩家の財力にも陰りが見え始め、肺を病み帰国した夫人の若き死も知らず、

第二次大戦後暫くして無一文に等しい形で帰国を果たした治朗八翁、、、

しかし、巴里の放蕩息子であり究極の洒落男:バロン・サツマの偉業は形には残らずとも、

数々の名も無き芸術家を育て上げ、数々の浮名を流し、「放蕩の美学」を身をもって知らしめた稀有の人として   
当世では不可能とも言へる桁違いの「日本男児の粋」を世界へ豪快に示した・・・

それはそれは素敵な せ・し・ぼん(素晴らしき哉)人生、で御座いました




 
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Comments

全ての財産をパリに捧げて帰ってきたのよね。お馬鹿過ぎて素敵ですね

日本は敗戦とともに、美的文化も棄て 全てお金でしか価値観を計れぬ国へと落ちぶれてしまひました…
庶民のワタクシが安らぎを求め内なる美への追求なぞ致した所で、気でもふれたか、飯の足しにもならぬと笑われるだけで御座います(フフフ)
外だけ着飾れば何とかなる現代ですものね 楽で良いじゃ有りませんか?
  • 2011.04.24 23:23/
  • 美輪 URL/
  • 編集

Re: お姐さま・・・

千代子夫人の人生は是如何に…といふのはチョイト気になりますけれど、ここまで巴里を愛し 他人から見たら阿呆かと思えることに全財産を費やせるなんてやはり、素敵で羨ましふ思います。

先進国の中でも、かやふに美術館代が高い国など聞いたこともありませんし、美術や芸術が庶民には遠く手の届かないものになり 一部のブルジョワだけのもの(いいへ、ブルジョワでさへ見向きもしていないかもしれませぬ)になってしまったことは、文化を粗末にした結果であると庶民のわたくしには思えてなりませぬ。

、、、などとわたくしには戯れ言を呟く程度しか出来ませんけれど 心にも栄養が必要に思うのは贅沢なのかしら…お姐様?
  • 2011.04.25 11:58/
  • 真珠婦人 URL/
  • 編集

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