古キ良キモノ一考


本日は、改めて「古きもの」に関してお話することに致しませふ・・・


そもそもよく耳にし目にする「Antique」とは何かと申しますと、

製造された時点より100年を経た 希少性の高い手工芸品・美術品などを指す仏蘭西語であります 

対して「Vintage」とはこれ何ぞやと申しますと、、、

語源はフランス語のvendange、本来はワインにおいてぶどうの収穫から醸造、瓶詰めされるまでの工程を表す言葉

かつてはワインの当たり年を示す語であったのが後に転じ、永き月日を経てワインが熟成される様子から

「特定の時期に作られ、年月を経た良き物」、と認識されるようになったさふな


つまり、平たく言へば 当時においても超一流品で100年以上経過したものが「Antique」であり

年代物の逸品であれば「Vintage」、年月は経ているが特に希少性が薄い中古のお品であれば「Junk」、でせふか


近年では雑誌などで盛んに「Vintageは一点ものゆへ世界に一つ」といふ文字が躍っております

しかし、そろそろ100年前と言っても過言ではない1920年代頃にはオートメイション化が既に進みつつありまして

「Vintage」どころか「Antique」と俗に呼ばれしものの大半は哀しい哉… 量産されたお品であるのが事実


イヘネ、、、何も皆様の夢をぶち壊したくてたわ言を言っているのではありませんでして…

特に、巨大人口をまかなう必要のあった米国においては、Searsなどのデパートブランドの出現を筆頭に

欧州等に先駆けて既製品文化は発達し、瞬く間に衣類はじめ生活用品の多くが大量生産される時代を牽引しました

つまり、物を次々にかつ大量に売るには常に目新しき流行を打ち出し消費意欲を煽る必要があり、

結果 量産を叶えうる簡素なデザインが持て囃されるやふになっていった…それが流行の真の姿とも言えませふ

とはいへ量産品は粗悪だとは一概に言へないわけで… 陶器などでも印判による色付けのズレが趣あったり、

古着では小ちゃな騙しぼたんや実用性ないポッケがあったり…往時の「必要無駄」の遊び心を感じることもしばしば



では、一点ものって一体全体 どんなもののことをいうんでせふか、、、お洋服の例を挙げませふ

それは、「既製(プレタポルテ)」でないもの… つまり、こつこつと個人が自らや家族の為に手作りしたもの

もしくは街角のテイラー(仕立て屋)が個人から注文を受けて丁寧に作ったもの

または、顧客の求めに応じ メゾンにより手間と隙とお金をかけて特注(オートクチュウル)したものを指します


それらは個人の寸法や好みに合わせて作られたものであるが故、サイズ表記や洗濯方法等は示す必要もなく

年代やデザインの良し悪し、出来不出来に関わらず 分け隔てなく「一点もの」と言えるのであります

当世の貨幣価値では到底不可能な時間と労力かけて作られたものを、驚くほどのお値段で手に入れられる贅沢さ…

それを掘り出すことが骨董はじめ古いもの好きの醍醐味とも真骨頂とも言えませふ!

一方、人には取るに足らない物でも自分が素敵だと思ふ品を見つけ得る「眼」…それも等しく尊き感性に思います



(アラマア、ではサイズ表記がある時点でアタシの可愛娘ちゃんは古くても一点ものでないのだわ、、、)

さふ嘆くことなかれ、、既製であるものを一点ものに仕立て上げる方法が御座います

それは、ぼたんやレエスを自分好みのものに替えたり、付け襟を縫い付けたり、自分の寸法に仕立て直したり…

既製服に手を加え、あなた自身に引き付けたらアラ不思議! それはこの世にあって唯一無二のものになるのです

その魔法が上手く掛かったなら、そのものがJunkか高級品かに関わらず、とびきりの笑顔で鏡に映ることでせふ!

勿論、手加えずとも寸分違わず合うものと出逢えば 既製品だらふがなからふがそれは素敵な奇跡と言えませふ

逆を申せば希少価値あるAntiqueでさへ、扱ひ方によってはがらくたとも成り得るものであるのです





いにしえの人々は和洋問わず、当世とは比べ物にならぬほど身嗜みにそれはそれは気力労力を割いておりました

紳士の背広のラペルには生花が挿され ご婦人方は場に応じて襟やぼたんを付け替え… 

中でもとりわけ「エレガンスの極致」と言はれた1930年代、、、

第一次・第二次大戦の狭間の時代、束の間の平和を謳歌した人々の美意識は男女共に最高潮に達します

「解放」された20年代を経、腰位置は再び上がり バイアスに流れる線は女性をしなやかな新しき生物に変え…

大量生産の足音を聴きながらも、仕立て屋さん達の確かな腕がまだまだ暮らしに根付き

デザイナー達が凌ぎを削り「すたゐる」を確立しやふと競い合ったモードの黄金期



今宵は、わたくし憧れの時代を生きた 名も無きチャアミングな女性達の姿をお届けしてお別れ致しませふ、、、

Goodnight Sweetheart・・・・






パールHPへようこそ
Pearl



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Comments

「AntiqueとVintage」

ごきげんよう。12歳の頃から「アガサ クリスティー」が大好きで、ボロボロになっても持っておりますのよ。アレが古い物好きの原点のような気がいたします。「エレガンスの極致」にはまだまだ至りませんがあれこれとコーデを楽しんでおりますの。それにお袖の長い着物にはついつい、テンションが上がってしまいますの。裏地が紅絹だと本当に女で良かったと思いますのよ。ああ、またしても、つまらない事を・・・5日、晴れたらお出かけしてみとうございます・・・ごきげんよう。

No title

古いもの好きな方は等しく、何かしらのルウツをお持ちなのですネ、、、改めまして お初にお手紙差し上げます。昔の上質な御着物など、まさに贅沢の極みでありますものを 当世のわたくし共が驚くべきお値ごろに手に出来ますこと… 時に、往時の職人さんに申し訳なく思ふこともしばしば。それほど、古の我が国の職人の技は素晴らしきものであったことを感じずには居られません。5日、今のところ残念ながら雨の予報ですけれど、晴れ間が出ることを祈りつつ、、、夜分に失礼致しました。
  • 2011.06.02 22:00/
  • 真珠婦人 URL/
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福岡に御座います、フランス中心の
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