縁日のスタア



さてさて、紳士のやや強引ともとれる振りにお応え致しまして、、、

今宵は昨年に引き続き、”人が魅せる小屋” 我が敬愛なる見世物小屋についてお話をさせて頂きたく候・・・

なお、ご興味あるお方は昨年9月の日記「嗚呼!見世物小屋 前篇・後篇」をご参照されたし・・・




当世我が国では、今や2社の興行団体を残すのみとなったといわれ、まさに風前の灯ともいえる見世物文化…

日本での歴史はといふと、江戸時代に爛熟しサーカスや美術館、動物園、おばけ屋敷、芸見せ等の要素も含み

明治時代以後に今でいふところの見世物小屋に近づいていったさふで御座いますが

昭和50年代以降、障害持つ方の舞台出演に対する取り締まりが厳しくなって以降、徐々に衰退傾向にあります


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他方、欧米では”サイド・ショウ””フリークス・ショウ”等と称され、19世紀には各国に既存していたさふな

移動式遊園地やサーカスと並び称される庶民お馴染みの娯楽であり、ストリップショウ等の原型になったとも

奇才・ブラッサイ写す1930年代の巴里にも、数々の「裏路地の名もなきスタア」が声なき歴史を刻んでいます


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お話は戻りまして 何故当世の我が国では見世物小屋は衰退の一途を辿るのか、、、

それは、後継者…すなわち芸を見せる太夫さんらを見出すことが困難になったからでありませふ

先述いたしましたやふに、かつては身体に障害ある方々始め奇形に生まれた動物なども小屋の主役でありました

逆を返せば、近年障害者の方を保護する法律が出来るまで 彼らが生活の糧を得る唯一の手段でもあったのです


確かに歴史の中には、親による人身売買や興行主による虐待・搾取など、想像超える悪行も繰り返されました

一方で、彼らの多くは与えられた環境の中 血の滲むやふな努力で芸を磨き、見世物の歴史を支えたのです

昨年チラとご紹介した、「最後の人間ポンプ」こと安田里美翁に代表されるやふに

売られてもなにくそ!と一念発起し芸を極め、遂には自らの小屋を持つまでになるスタアも存在しました


また、わたくしと同郷:美濃の国は飛騨高山に生を受けた中村久子女史(1897 - 1968)にいたっては、

幼児期両手両足先を脱疽により失うも 裁縫・炊事洗濯をこなし 「だるま娘」として小屋の黄金期を支え

かのヘレンケラー来日の際 手製の日本人形を渡し、「私より不幸な人、私より偉大な人」と賞されたさふな

「人の命とはつくづく不思議なもの。確かなことは自分で生きているのではない。生かされているのだと言うことです。
どんなところにも必ず生かされていく道がある。すなわち人生に絶望なし。いかなる人生にも決して絶望はないのだ。」

後年はこの名言と共に障害者自立支援に全力を注いだといふ、稀有の天才…いや努力のなせる秀才でありませふ


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かつては、小屋のみならずキネマやテレビの中にも当たり前のやふに「路地裏のスタア」が顔を見せました

当時でも問題作のトッド・ブラウニング監督『フリークス(1932・米)』の裏話として嘗て読んだ書物に拠れば、

映画撮影で最も苦心したのは、全米より集めた見世物小屋の「スタア」達が各々主役を張りたがった事で、

小屋の外で観ている 所謂「健常者」達が思う以上に、彼ら彼女らは自らの姿や芸に誇りを持っていたといふ証

それが何時の間にか「良心」といふ名目の下…彼らの姿は表舞台どころか裏路地の祭からも消えていきました


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当世では医療技術も日進月歩でありますから 古のやふに病に漠然たる畏怖を抱くことも少なくなりました

病の原因が解明されるに従い、言われなき偏見や差別は表面的にはなくなったかのやふに思われる今日…

しかし、当世の芸能関係に障害をもつ方々がほぼ皆無であるのは、どこか背景に闇を感じざるをえないわたくし



本年の博多は箱崎宮の放生会、、、  

小屋の中を仕切るベテラン初老女性口上師の巧みさに、妖艶さを増した感のある小雪太夫の蛇芸、

古典的なだまし芸の流れに初々しさとお色気で華やかさを添えたデリシャスウィートスの面々、、、

ショウの真髄は、努力に裏打ちされた魅せる芸と 騙されも惜しくないと思える口上の技にあり…

迷惑でせふか、見世物小屋に勝手なる偏愛を寄せるわたくしは、彼らに微かな希望の光を見出したのでした





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