芸に生きる


此処の所、真珠家では互いに黙々と各々の嗜好に添って読書浸りの日々でありまして、

紳士は手塚翁の漫画全集を、わたくしは例の如く 大道芸人絡み等の書物を読み漁っております…


そんな折、我が国にて三大大道芸祭りといふものがあることを知り、静岡、横浜(野毛)に並び称されるのが

我が心のオアシスであり郷土に程近い、カオスの街:名護屋は大須にて催される大道町人祭、、、

イヤア、迂闊にもわたくし存じませんで 本年度はナント昨日・今日(10/15・16)盛大に行われている模様

近隣県にお住まいでご興味ある方、一先ずは本稿を読まれる前に 大須観音目指し駆けつけられたし!



…といふことで、紳士に続く服飾史は近日お送りすることと致しまして 急遽、

本日は「大道芸人」に寄せる熱き思いを綴ってみたく思ふ故 ご興味ある方のみお付合い下されば是幸い…



図書館にて長く気に掛けていた『大道芸人(森直実氏著)』を基に、先ずは大道芸の体系を振り返ってみませふ

先立って、見世物小屋やサアカスについてわたくしなりに拙いお話をさせて頂きましたけれど、

どちらにとっても欠かせないのが「芸人」、、では はて、はて… 「大道芸人」とはこれ何ぞや?と尋ねれば

答えはテントの中で演ずるか 大道:つまり表で演ずるかの違いでありまして

人間ポンプに例えれば、「影」である見世物小屋に生きたのが戯れ言でも幾度か取り上げた安田里美翁なら 

「表」である大道に生涯身を置きしが園部志郎翁、互いは自他共に認める好敵手であったさふであります…



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サアカスやサイドショウの歴史を辿れば、18世紀後半イギリスにて始まった曲馬団がルウツのやふですが、

騎乗にて芸をしながら観客の前をぐるぐる回る曲馬(馬乗り)から始まったがゆへに、

中央から馬を打つ鞭の長さとの関連から直径13メートルの丸い舞台(サークル)が最適とされ、

そこからCircus(サアカス)、フランス語ではシルクと呼ばれるやふになったとのこと


当初曲馬が中心であったサアカスも、奇術やアクロバット、軽業師や音楽隊、動物見世物に道化などが加わり

当世の形に次第に近づいて参りますが、専門以外に複数の芸を持つものも多かったやふで

閑散期に彼ら彼女らは「外」へ出向き、稼ぎを得る為に大道芸をすることも多かったのです

また、今日の大道芸は17世紀 伊太利亜各地で起こった仮面喜劇Commedia dell'arte(コメディア・デラルテ)に

その原型を見ることが出来るさふでありまして、また別の機会に「道化」については触れたく存じます



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一方、公演前後に木戸銭を取るサアカスやサイドショウと違い、文字通り垣根なき空の下行われる大道芸では

いくら危険であったり優れた芸をしやふがタダ見をされることも間々あったやふで、

野次馬の目を釘付けにしつつ財布の紐を緩ませるか…細心した成果が話芸や演技の向上に繋がりました


主に芸を見せての投げ銭(ハットマネー)形式が大道芸の主体の欧米各国に対し、

我が国においては、特に昭和期は「寅さん」の所謂テキヤ式物売り商売が長く主体であったやふで

巧みな口上のタンカバイ(がまの油売り、唐辛子売り、バナナの叩き売り)などがよく知られて居ります

余談ではナキバイといふのもあったらしく、「会社が火事で倒産、水を被ったこの万年筆を買って欲しい」…

等と話芸で商いを行う手法で 物を媒介に芸を売っていたのでありました


特に、日本では近代まで「芸を糧にする人」は社会的地位が低いとされた歴史が長かったことから

歌舞伎役者でさえ当初は河原者、として蔑まれていたことからも 芸に対価を払うという認識が薄く、

大道芸大会開催当初は「投げ銭」ゆえに遠くからお賽銭如くポ~ンと硬貨を投げる人も珍しくなかったとか



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さて、ではここいらで 幾多もある大道芸の系統をご紹介致しませふ・・・

先ずは、「軽業(アクロバット)」の系統を汲むのが一輪車、綱渡り、玉乗り、ジャグリング、空中ブランコ等

続いては「人体の脅威」と言ふべきか、ストロングマン(怪力)、火吹き、人間ポンプ、悪食(蛇喰い等)等

他にもパントマイムに奇術、人形劇、風船芸、ハプニング芸、道化、足長、舞踏に楽団…と種々多様・・・

我が国ではチンドンや南京玉すだれ、水芸に駒芸はじめ 嘗てはバイオリン演歌師なるものもおられました



嘘か真か、雑技団に入れぬ少年少女は体操競技に進むといふ中国のお国柄の特殊性はずば抜けておれど、

軽業で骨折等は日常茶飯事、好奇心旺盛な観客の為 ビル間に渡した綱を渡り強風に煽られ墜落死する者、

勇気さへあれば誰でも出来ると言はれる火吹きも、吹いたはずのベンジンが逆風で自ら火だるまになることも…

人間ポンプの園部翁、普通口に含むだけのベンジンをポンプゆへ飲み下し吐き出す為 後年は胃癌に冒され

それでも、幾度の手術を経ても丸呑みした蛇が胃に噛み付いた方がきつかった、と笑ってみせたさふな

簡単に見える芸こそ命懸け、陰なる努力を感じさせず さも容易にやってのけることの難しさを痛感致します



放浪の民ジプシー(正式にはロマ)が東西の芸の架け橋として果たした役割は大きいさふでありますが、

大道芸を魅せる場さへあれば鞄一つ身一つで世界を飛び回る大道芸人はまさに 芸における放浪の民…

独裁国家は破綻し、先進国でも格差是正を求めるデモが起こる当世において、

こうあれば一生安泰 などどいふ所謂「成功の方程式」は見事に崩れ去って居るのでありまして、

そんな中 芸一つで生き抜く彼ら彼女らの潔き生き様が一段と輝きをもって力強く感じられるわたくし



そもそもこの「大須大道町人祭り」、1970年代後半 商店街が衰退の危機に瀕したことから

著書の舞台:横浜野毛と同様 大道芸大会で街を活気づけたいといふ商店主達のユニイクな思いからスタート 

70年代終わりの時代背景もあり、当初は暗黒舞踏などアングラ的要素の強かった大須大道町人祭り、

見事街の再生は進み、世界コスプレサミットと並び 今や幅広い人々を虜にする老舗行事であります




さて、麗らかな日曜の今日の日、、 

混沌の街:大須をご当地珍味に舌鼓打ちつつ 大道芸人の芸を梯子して見歩くもよし 花魁道中の見物もよし

あ、恒例の呼び声高き金粉ショウは今年もあるのでせふか… 観音様の心の広さに感服いたす心持であります



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