服飾史 ~真珠篇~



暫く個人の嗜好に少々脱線気味で御座いましたので、今宵は久々に服飾史と参りませふ、、、

何を綴ろうかしらんと迷ったのですが 先日のベレヱ篇が少々好評であったのに気を良く致しまして

私共の屋号ともさせて頂いております東洋の神秘、 ~真珠篇~ をお送りすることに致しませふ…




古代ギリシア・ローマでは、愛の女神アフロディア(ヴィーナス)が海の泡から誕生した際、

その身体から払い落とされた水滴が海に入り、輝く結晶となったのが真珠だと考えられていたさふであります

また、古代インド神話では、「虹は神の後光に、ルビーは神の額に、真珠は神の心に飾られた」と言います

一方、我が国では 古くは「しらたま」といふ名で万葉集や古事記に記述があるさふな

いにしへから超自然的な力を秘めているとされる真珠は、お守りや様々のシンボルとして用いられて参りました

また神秘的な色合いから、古代よりエジプトや中国では粉末にして化粧品や漢方薬として珍重されております



さて皆様、この「しらたま」なるもの、 如何様にして出来上がるかご存知でせふか?

貝は体内に入り込んだ石ころや微生物等の異物から身を守る為、自ら分泌する真珠質でそれらを包んでしまひます

こうした美しき偶然の産物により、自然界の芸術作品:天然真珠が生み出されるのであります



されど、天然ものは当然ながら希少価値が高く高価な上 粒の大小も色も形状も不揃いであります

当時世界中で天然の真珠が高値で取引されており 海女が一粒の真珠を採ってくると高額の収入を得られる事から

我が国においてもアコヤ貝は乱獲につぐ乱獲により絶滅の危機に瀕しておりまして

かふしたことから1890年代伊勢志摩の真珠王:我らが日本の御木本幸吉により 養殖真珠業が始められました

幾度の失敗を繰り返した後 画期的な人口養殖による美しい真珠を生成することに成功した彼は、

「世界中の女性の首に日本の真珠の首飾りをかけるのだ」と豪語致しましたが、時を経てまさに・・・

真珠は日本の特産品として、群を抜く美しい巻き(真珠層の厚さ)と照り(真珠層の光沢)が世界中で愛されています




日本女性にとって冠婚葬祭は勿論のこと、最も身近な宝飾品としてお馴染みとなった真珠でありますが、

中でも桃色の真珠が一番高価ださふで、大和撫子の肌色によく似合う色だとされています

他には白、黄、クリイム、金、銀などが御座いまして、母貝の内側の殻の色に各々由来すると言われております

本来天然真珠に丸い物は少なく、古くから欧州では個性的な形状から 歪なバロック真珠の方が珍重されたさふな




さて、時は1920年代… 

第一次大戦を経、より活動的になることが必然となった革新的な女性たちは、職業婦人として社会進出すると共に

贈り物として貰うのではなく、独立した女性の証として自ら宝飾品を買う悦びに目覚めてゆきます、、、

しかし 養殖真珠が浸透しつつあるとはいへ、まだまだ高価であることには変わりがありませぬ

そこで人々は硝子やプラスティックをコーティングしたイミテーションパール(模造真珠)を身に着け始めました

ココ・シャネルも、模造真珠を始め ラインストーン等人工素材を用いたコスチュームジュエリーを愛した一人…

さふ、本物の宝石か否かのみではなく そのデザインの独自性にも目を向けられる時代が到来したのです

ストンとくびれのない筒型のフラッパードレスには2メートル近い小粒のロングタイプを重ねるのが好まれました   

頬の張りも初々しい、若きジョセフィン・ベイカー嬢の褐色の肌には、白き真珠がたいそう映えますね





1930年代後半に入り、第二次大戦の足音が本格的に近づくと 宝飾品に用いる素材や量も限られて参りまして

それこそ各国で贅沢品不買運動が起こり 金属類などは銃器製造の為に差し出せと言われた時代…

ですから一部特権階級以外は本物の宝石類は勿論、模造品でさへ華美な物は身につけることを許されませんでした

従って以下のブロマイドは30年代前半でせふ、、女性らしいジョーゼットや絹地には小粒真珠がよくお似合い


mary-brian-pearls.jpg

 
戦火の中の1940年代前半、物資も益々制限される中 身体に添ふ男性的なシルエットの洋服に合う様に、

真珠の首飾りも自然と短めのものが主流となってまいります

抑圧された状況下ゆへに滲み出る女の色香…密かに身に付けた真珠の輝きは女性の心をさぞ高揚させたことでせふ

  
ann-miller-pearls.jpg


大戦後から1950年代にかけて、開放ムウドにつつまれたモオド界では 一気に女性らしさや華やかさが回帰し

真珠の首飾りも首元に添うチョーカー型や付け襟型など、短めの良家の子女風趣向が好まれました

時に模造真珠が釦やバッグに用いられたり、一風変わった所ではベルトや手袋などにも装飾として花を添えました


peggy-knudsen-wearing-pearls.jpg


巴里の16区に住むBCBG(ベーセーベージェー:巴里の上流階級的な、シックで趣味の良いとされる家柄)の子女は

18歳になるとマドモアゼル(お嬢さん)からマダム(女性)への第一歩として母親から真珠の首飾りを贈られるさふ、

一歳一粒計算でせふか、およそ40cmのこのチョーカータイプは最も一般的で礼装・普段使いを問わない長さです

以下のブロマイドの女性も、あどけなさの中に小粒真珠の醸しだす清楚な大人の馨りが漂いますネ…

また60センチのマチネータイプはデイタイムの軽い御洒落に、80センチのオペラタイプは夜会等の改まった席に、

120センチのロングタイプは二重にしたり結んだりとイブニング等胸や背中のあきが広いドレスに最適であります

婦人の宝飾品のみならず、タイバーやカフリンクスなど紳士ものにも用いられる真珠はまさに宝石界の万能選手 


CherriesPromo1_320.jpg


一般に、小粒で淡い色ほど若い女性に、粒が大きく濃い色は年を重ねた女性に似合うと言われています

やはり年輪や人生と同じく、月日を重ねるほど真珠の巻きや照りが厚く深みを持つのでせふ

年齢と共に似合うものが変わるのは決して悲しいことではなく、洗練されそぎ落とされ初めて似合うものもある…


真珠を身に付けるものは愛を引き寄せ、悲しみを悦びに変える力を得るとの言い伝えもあります

お婆様やお母様から代々譲り受けた真珠を特別な日に大切に使われるもよし、

汗や香水に強く、様々な趣向に加工しやすい模造真珠で貴女らしさを反映なさるもまたよし、、

近年の模造真珠と比べますと、古い模造真珠の持つ色艶や巻きの厚さ、凝った留め具等の存在感はまた格別です

当方では気軽に身に付けて頂ける模造真珠を各種扱っておりますゆへ、気兼ねなく御洒落のお供にどうぞ・・・



パールHPへようこそ
Pearl


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Comments

No title

先週、20年共に暮らした猫がお星様になり落ち込んでおりました。この度、fc2に引っ越しました。名前もjickyからruru1202にかわりました。これからもよろしくお願いします。

Re: No title

それはそれは、、、ご愁傷様で御座いました。
わたくしは猫を飼ったことはありませんが、ペットとはいへ人と同じ、、
ふとした時に思い出と共に切なさが蘇るものですね・・・
これからも宜しくお願い致します。
  • 2011.10.22 22:02/
  • 真珠婦人 URL/
  • 編集

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福岡に御座います、フランス中心の
ヴィンテージ・アンティークショップ
Pearlのマダム&ムシュウによる
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