おもろい女



二回にわたり ○○ブギと続きましてお気づきの方、おそらくは平成生まれではないことでありませふ・・・

さふ、この度は 「ブギの女王」として戦後の我が国に一大旋風を巻き起こした笠置シズ子女史に迫りたく思います



と言いますのも、先だってより『ブギの女王・笠置シズ子(砂古口早苗著)』大変興味深く拝読したからであります

戦前戦後彼女を育てた唯一無二の師匠であり、「演歌の古賀(政男)、ジャズの服部」と称された服部良一氏について

以前『上海ブギウギ1945(上田賢一著)』を読んだ際、文中に頻繁に登場する姿が印象に残ったこと、

また かつてお客様から服部良一作曲大全集をお借りして 日頃より唄声が耳に馴染んでいたこともありましたが

改めて人生を追ってみましたらば、世間の想像する「唄って踊って叫んで飛び跳ねる笠置シズ子」像とは大きく違う

慎ましやかで古風で子煩悩で、涙もろくて人情に厚く、曲がったことの嫌いな彼女の知られざる姿が御座いました




「皆様は私をブギの女王とスヰングの女王のフービー・ガールとかに見て、さぞ突飛な、奇抜な女と考えて、
さういう角度からいろいろの目論見やお誘いを受けるのですが、私自身は全くブギウギとは正反対なのです。
どちらかといえば、古くさい女でしょう」

「なんとなく『おもろい女』と思われながら、案外まともで、おもろない性格の持ち主なので、
人生の機微にふれるやふな記録になりやふはございません」


エノケン劇団と共に活躍し「女エノケン」とも称され喜劇女優でもあった彼女が後年語るやふに、

根は馬鹿が付くほど真面目な人物が舞台上で「阿呆」を演じるから面白く、人を弾き付けたのでせふか



エノケン&シズ子さん_320




1914(大正三年)香川県に生を受け 複雑な生い立ちを経、当時新進気鋭であった松竹少女歌劇団(SSK)に入団後、 

への字眉で所謂美人でないにもかかわらず 瞬く間に男装の麗人:水之江滝子と並ぶ看板レビュウダンサアに、

戦前は「スヰングの歌姫」「ジャズの女王」としてインテリ層から強い支持を得 一躍時代の寵児として持て囃され、

戦時中は「敵性歌手」として当局からにらまれ 戦地への慰問団に加わることも許されず不遇の時代を過ごし、

さふして戦後は 皆様お馴染み「東京ブギウギ」をはじめとした一連のブギブウムによる「ブギの女王」のみならず

「敗戦歌手」「アプレゲール(戦後派)歌手」「デカダンスの女王」として戦後復興の象徴に祭り上げられた女(ひと)・・・

浮かれ浮かれた世間のブギウギ熱が 「マンボ熱」の新たな流行と共に瞬く間に冷めるやいなや、

すっぱり歌手から足を洗い 「高いギャラはいりまへん」と新人女優に転身し精進した潔い女・・・




歌手としては不毛の時を過ごした戦時中、吉本興行の御曹司で九つ下の美青年と生涯一度の恋をし 身篭るも、

出産目前の彼の病死に、残された浴衣の残り香をかみ締めながら一人子を産み落とす、といふ件のいじらしさ  


戦争直後、「ブギの女王」として世の「復興」のみならず 未婚の母として自身の「復興」をするべく舞台を掛ける姿に

「ラクチョウの姐さんたち(有楽町の街娼:俗称パンパンガアル)」が自らの身を重ねたかこぞって公演に押しかけ、

乳飲み子を抱える女王の心を大いに励まし、また終生において 街娼を引退した彼女らと暖かい交流を持ったとか

・・・ 数々のエピソオドから垣間見える彼女の人間臭い姿に、思わず心奪われ胸を熱くするものが御座います





わたくしの最も好きな曲に、デビュウ曲であり戦前の和製ジャズ曲の「ラッパと娘(1939年)」があります

どことなく黒人歌手を思わせる土着的で官能的な唄声、「笠置ブギ」しかご存知でないお方に是非一度拝聴願いたい






また、先述の「ラクチョウの姐さん」たちの心を支えたとも言ふ 和製ブルース曲の「セコハン娘(1947年)」、

余談ですけれど、身なりだけはわたくしもまさに頭から爪先まで「セコハン娘」でして こちらも大好きな曲






さふして、喜劇女優としての才能もまさに大きく花開きつつあった 皆様ご存知の「買物ブギ(1947)」、

当世では一部不適切とされる箇所も御座いますが それも含めて時代の雰囲気が伝わる「名ラップ」でありますネ








前回の「戯れ言」にもある「ロスアンゼルスの買物」含め、四曲違った曲調を聞き比べて居りますと、

彼女の未知数で豊かなる才能に ズブな素人ながらわたくし、日本人にも凄い人がいるものだと嬉しくなります

歌手として一女性として、まさに天国地獄を見た「笠置シズ子」といふ一人の生き様を通し、戦前の日本人の強さ、

さふして粋で職人気質で「モダン」の馨りが残っていた華やかなりし嘗ての我が国を見たやふで御座いました 

 



パールHPへようこそ
Pearl


スポンサーサイト

Comments

コメントの投稿


非公開コメント

プロフィール

Pearlマダム&ムシュウ

Author:Pearlマダム&ムシュウ

福岡に御座います、フランス中心の
ヴィンテージ・アンティークショップ
Pearlのマダム&ムシュウによる
日々の戯れ言を綴った日記です

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ




検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
このブログをリンクに追加する
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
ブログランキング・にほんブログ村へ