パノラマ世界



さて、たまには商品紹介から離れ 「大人の戯れ言」と参りませふ・・・

秋の夜長、とまではいかないものの 真夏前の今時期は夜も過ごしやすき事から、自然と読書がはかどります

皆々様は、如何様な本をお供になさっていますでせふか、、、



近頃のわたくしは、ふとまた本棚の「江戸川乱歩」類を手に取りながら 夢と現の境にまどろんでおります

といいましても、既に何度か読んだ筋立てもあるわけですから 犯人探しを愉しんでいるわけでは無論なく、

挿絵にある豊かな頬を持つモガの装いに見入ったり、道化師の首周りのヒダ状の装飾の名称が今更気になったり・・・

等と、少々異質な愉しみ方をしつつ 気付くと一気に数日で再読しているので御座います 

 

青銅の魔人_400



尋常小学校時代、図書館に足繁く通い 乱歩先生の『少年探偵シリーズ』等を手にして居た方も多いことでせふ

大層小心者であるわたくしは、ひとペエジ毎に 次こそは恐ろしい挿絵が描かれているのではないかしらん・・・と

怯えながらも 怖い物みたさに胸躍らせつつ、出来るだけ明るい場所でソオっとペエジを捲っていたものでした 

今拝見しても、この『青銅の魔人』の うつろに空いた仮面の奥の眼が、異次元界への入口のやふに思われたり

おどけた道化師の姿がけばけばしくある程、笑わぬ瞳の奥に秘めた狂気に 時にうすら寒くなったり致します


ご興味ある方は、三年前の「戯れ言」をどうぞ、、、 → 乱歩は続くよ、何処までも・・・





ずっと後年に手に取った乱歩先生の短編や長編集は 少年探偵団シリーズより格段に濃い色香が漂っております

特に、戦前に書かれた「魔術師」「孤島の鬼」等は 大正期のエログロナンセンスの馨りが残る、好きな作品・・・

当世店頭で手に取れる文庫本では、毒々しくも美しい当時の挿絵はごく一部のみ掲載されるにとどまっていますが

嘗ては 往時の人気挿絵家:竹中英太郎氏や岩田専太郎氏等、各々の個性にとんだ挿絵が彩を添えておりました



孤島の鬼_400




さて、ここいらで かの問題作:「孤島の鬼」の 書き出しを少々ご紹介すると致しませふ、、、


私はまだ三十にもならぬに、濃い髪の毛が、一本も残らず真白になっている。
この様な不思議な人間が他にあろうか。嘗て白頭宰相と云われた人にも劣らぬ見事な綿帽子が、
若い私の頭上にかぶさっているのだ。私の身の上を知らぬ人は、私の会うと第一に私の頭に不審の目を向ける。
無遠慮な人は、挨拶がすむかすまぬに、先ず私の白頭についていぶかしげに質問する。
これは男女に拘らず私を悩ます所の質問であるが、その他にもう一つ、私の家内と極く親しい婦人だけが
そっと私に聞きに来る疑問がある。少々無躾に亙るが、それは私の妻の腰の左側の腿の上部の所にある、
恐ろしく大きな傷の痕についてである。そこには不規則な円形の、大手術の跡かと思える、
むごたらしい赤あざがあるのだ。・・・   (光文社文庫 江戸川乱歩全集4 『孤島の鬼』より)




冒頭を一読したのみでも、「嗚呼、一体全体この人物は 如何なる人外境の怪奇体験をしたのであらふか・・・」等と

読み手を一瞬にして乱歩世界に引きずり込み、まるで自分に起きた出来事かの如く思わず我が頭やらを確認する程

特に、後年「傑作」と呼ばれる作品群の序論の持つ迫力に 圧倒される方も多いようです




悪魔の仕業と思えるやふな残忍なやり口の犠牲になるのは ナントまたしても絶世の美女や美男子であり

身の毛もよだつ醜い形相を持つといふ犯人による華麗な手口に逃走劇、あっと驚く真犯人のタネあかし!・・・


その舞台の背景にはいつも、華やかなりし浅草界隈やら レビュウの踊り子に妖しき見世物小屋一座が花を添え、

奇奇怪怪なる孤島やら地下室やら時計塔にて 一大スペクタクルやら復讐劇やらが人知れず巻き起こります 



全くの素人ですので、あれらこれやと批評するのは全くもっておこがましいのでありますが、

恐らく探偵・推理小説家として優れた作家は、乱歩先生の他にもあまたいらっしゃることでせふ・・・

もっとも、ご自身も仰るやふに西洋小説のオマージュ的な要素が強かったり 繰返し用いられる手法もあったやふ




されど、彼の作品が時を経てもなお わたくし共を惹きつけるのは、はてさて如何なる魔力か、、、


いくら Google Earth等により宇宙衛星から自宅を一瞬にしてクローズアップ出来るとしても、

科学が発展し クローン動物どころか 今や人から再生細胞が取り出されんとするご時世だらふとも、

ふと見知らぬ小道に迷い込み細い路地を抜けた先、突如として時を忘れたやふな西洋作りの古めかしい洋館が現れ

忌まわしい怪事件が今にもそこで起こらふとしているのではないかしらん・・・ 


そんな魔界への入口が間近に潜んでいるかのやふな錯覚を憶えさせ 人知を超える力は存在するのだと思わせる、

異次元と現世との境目・・・ 富と貧、幸と不幸、美と醜が背中合わせの、

乱歩先生の妖しき湿り気帯びた 大パノラマ世界があるからやも知れません 




嗚呼、そんなことを綴っているうち何時の間にか 外はビロウドのやふな漆黒の闇に包まれて参りました・・・




竹中英太郎_400




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