時代の色彩 ~色の洪水~



◆6/6(月)は店休日とさせて頂きます◆




さて、今宵は前回予告通り… 
複雑怪奇な流れをたどった 1930年代モオドの軌跡を見て参りませふ


◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


1930年代は、正確には29年から始まっていたといっても過言ではないでせふ

… ニューヨークはウォール街での株大暴落に端を発する「世界大恐慌」は、
瞬く間に世界に飛び火… 一夜にして成金族を失業者へと変貌させました


その一方、映画の都:ハリウッドからは甘く、陽気なキネマが日々生み出され、
ラヂオからは 夢見心地な恋の唄やジャズ、どたばた喜劇が流される…

そのあたりの世相は、右の「戯れ言」をどうぞ → スウィート&ビター


30年代を代表するセックスシンボル:ジーン・ハーロウ…
銀幕の艶やかな姿と早すぎる死、まさに「白と黒」のモノクロ時代を駆け抜けたと申せませふ

500 jean harlow 30s glamour silk gown_512



ここで、少々長くはなりますが… 1930年代フリークの方には是非お読み頂きたい

◆30年代のクロニクル

30年代と一口に言っても、はじめから終りまでずっと同じだったわけではない。
ここで1930~39年の波動のクロニクル(年代記)を走り読みしてみることにしよう。

30年代は<スリミング・クレーズ>(ほっそり見せようとする傾向)と
<ヌーディティ・プリンシプル>(からだの線をはっきりだす傾向)が全般的に流行した。

まず1930年には<グレイシャス・ライン>(優美な線)と<インタレスティング・ディテイル>(部分の工夫)が合言葉だった。
1932年にはイブニングドレスがひらひらゆれ、しゅっしゅっという音をさせ始めた。
ランプシェード型のショルダー・スリーブ、ショートケープスリーブ、肩からさがるフリルなどが好まれ、
ペールブルーのベルベット、緑に白の水玉、チョークホワイトのクレープ・ドレス、シフォンドレスに白いベルト、
ポルカドットのスカーフ、スモールストローブルトンハットなどが見られた…(中略)

1933年には「メイポール(五月祭)のようにスリム」なスタイルが求められ、ほっそり見せるために、
ストライプやボタンの列によって垂直性を強調し、サイドポケットで斜方性をだした。(中略)

1934年はセックス・アピールが求められる。プリンテッドシルク、ラメ、サテン、クレープ、デシンといった、
きらきらして、すけていて、ひゅるひゅる音がする、いかにも女性的なマテリアルがたくさん使われるようになる。
(中略)ストラップのないイブニングドレスによって背中はむきだしになり、
スカーフなどをふわりとうしろに投げかけるスタイルが好まれ、<バック・インタレスト>(背中の魅力)が注目され始める。

(中略)1936年あたりから30年代も曲がり角にさしかかってやや変化があらわれる。
ストリーム・ライン(流線形)、センチメンタルな傾向から、カジュアル、ボルド、チャンキイ(ずんぐりした)、
リアリスティックな傾向への動きである。ピンポイント、チョークストライプフランネル。
1937年はイギリスではジョージ6世の戴冠式があり、コロネーションカラー、ローヤルパープルが流行する。
スペインでは内乱があり、ドイツの空軍がゲルニカの爆撃を行うなど、戦争の影がさしはじめる。
アメリカ風の大胆なストライプ、チェックが入ってくる。チロルやユーゴなどの民族衣装などがとりあげられる。

1937年、魅力の中心はヒップと背中から頭と胸にもどってくる。ジャージーや大きな花柄。
ターバン、<レディー・フォー・バス>(風呂に入るとき、頭を包む)のヘアスタイル。
1939年、スカートは短くなりはじめる。パリでは<リトル・ガール>趣味、ポルカドット、ボルドチェック、
ピンストライプ、ベルベット、モアレタフタ、レース、フェーユ(節織絹)。

こうして<マチュア・ウーマン>(成熟した女)はまた、<リトル・ガール>にもどってしまい、
また始めからやり直しというわけである。
(『流行の神話(海野弘 著)』より、一部抜粋)




◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇
  


30年代を彩る色と「キネマ」の関係は 切っても切れません

…なにせ、白黒の世界では よりくっきりと人物を魅惑的に演出する必要がございます
従って、大胆なバイカラー等の配色・明確な柄を衣装に用い 濃い濃い化粧を施しました
銀幕でキラキラ輝くラインストーンにスパンコール・ラメ… 人々は桃源郷に酔いしれます

現実では、「持つ者」と「持たざる者」の差が歴然とあらわれた30年代前半、、、
職探しに長蛇の列をなす失業者を尻目に、「持つ者」たちは夜な夜な乱痴気騒ぎに興じ…
淡いシルクシフォンロングドレスのレディを連れるは、仕立ての三つ揃えに身を包む紳士
また、ビイチやゴルフ着など、余暇を愉しむ場でのパンツルックも珍しくなくなります

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シュルレアリスムの影響も感じさせる、各々ユニイクなパンツ姿… 得意げなビイチ着のお嬢さんたち
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アメリカンジョークでは済まされない、日々の暮らしもままならぬ失業者の苦悩に満ちた表情
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30年代後半になると天然色(カラー)映画が普及し始め、生身のスタアたちの色が露に!
夢と現実の境がなくなると同時に、戦争の足音が近づいてくるとは皮肉なもの…

ポルカドット、ピンストライプ、チェックといった30年代後半を代表する柄はいずれも、
綿やウールといった比較的手に入りやすい布地に似合う単純柄であり、
色合いも濃い緑や茶に黄色、紺に白、グレー等 シックな色が必然的に流行します 

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徐々に使う布地の量は少なく、スカート丈がぐんと短くなった頃の お嬢さん方のはにかむ笑顔
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所謂「レディー・フォー・バス」ターバン巻きは、その後 戦時中の労働スタイルとしても定着します
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さて、ここらで頭がグルグル・・・ 
色と柄の洪水に巻き込まれた方、いらっしゃいませぬか?


モノクロ映画の夢に酔いしれ、いつしか覚めてカラーの現実社会がやってきたら、、、

色も柄も身につければ売国奴扱い: 「戦争」という白黒世界が等しく待っていた…


好む色柄で自由に装う時代、、、これは昔も未来も当然とは言えないやふです




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